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お知らせ・トピックス

導入事例:経理部立上げ(介護業界DX)

当社が実際に支援したお客様事例をもとに、DX成功のポイントを解説します。

 

■今回の事例企業

・目標は生産性の高いバックオフィスをつくること
・業種は介護事業
・北関東に本社を置く介護事業を営むグループ
・拠点は全国80拠点

 

■介護業界を取り巻く環境

 日本は超高齢化社会へ移行中です。今後ますます要介護者は増える見込みで、特に75歳以上の割合が高いです。内閣府の資料では、総人口は減少傾向で、令和3年10月1日の時点で1億2,550万人、これが、令和47年の時点では8,808万人になると推計されています。

 一方、高齢化率(65歳以上人口割合)は上昇傾向で、令和3年10月1日の時点で28.9%、これが、令和47年の時点では38.4%になると推計されています。つまり、令和47年には、約2.6人に1人が65歳以上、約3.9人に1人が75歳以上になります。

 このように介護需要が高まる中、介護施設の数も増えていて、業界の競争も激しさを増しています。厚労省の資料を見ると、介護業界の競争が激しいことが分かります。要介護者の増加に比例して、介護施設の数も右肩あがりで増えています。例えば、介護施設の数は、有料老人ホームが約14,000件、認知症高齢者グループホームが約13,000件など、約68,000件あります。コンビニエンスストアは全国で約56,000件なので、コンビニよりも多い状況です。

 その結果、事業を継続できなくて会社を精算したり、事業を売却したりする施設もあります。今回の事例企業は、そのように事業を続けていくことが難しい施設などを承継し、自社のノウハウを活かして経営を安定させ、地域社会に貢献することを目指しています。

 

 

■生産性の高いバックオフィスをつくりたい

 そんな事例企業から受けた相談は「生産性の高いバックオフィスをつくりたい」というものでした。

 ある大手企業から事業を承継し、新会社として再スタートさせることとなっていました。バックオフィス部門は引き継いでいないため、新しくつくる必要があります。資金力も人材も豊富だった大手時代とは違い、人材が豊富にいるわけではなく、「最少人数で回せるようにしたい」「未経験者も活用したい」「大手時代の無駄な業務はそぎ落としたい」「身の丈に合ったシステム投資を行いたい」「そして短期間で稼働させなければならない」などがリクエストでした。

 ご相談をいただいたのは事業開始の約4か月前。

 そこから300人規模の会社のバックオフィスを立ち上げるのは難しいので、第1フェーズを経理として3カ月で立ち上げ、第2フェーズを人事や介護システムの移行にしました。ヒアリングして優先順位をつけたわけです。今回は第1フェーズにフォーカスします。

 

 

■システム構成

 経理部門立上げのうえで、最も重要になってくるのが会計システム。

 商品選定をすすめるべくヒアリングをしているなかで、先方から「経理は勘定奉行がいいのではないか」との声があがりました。

 検討する時間が限られており、また奉行であれば債権債務の管理も対応できるため「それでいきましょう」と進めることとなりました。

 また、「債務奉行」「債権奉行」というサブシステムも入れることで、簿記会計の知識がない人でもミスなく入力できるようにすることを目指しました。

 

■ネットワーク構成

 オンプレかクラウドか。

 有料老人ホームなどの施設や拠点でも、訪問介護員などの立替精算、小口現金管理などで利用するため、クラウド版を導入しました。

 

■今回の事例でおつたえしたいDX成功のポイント

 まとめると、3点がポイントです。

1.会社にあったシステムを選ぶ
2.定期的に関係者とコミュニケーションをとる
3.法改正を活用して、業務のやり方を変える

 

■問題発見!システムが合わない!

 大変です。プロジェクトを始めて1か月頃に問題が発生。選んだシステムが合わないことが判明しました。

 施設利用者の大半は、月々の入居施設の賃料などは「口座振替」で支払っていることが分かりました。また、利用者の数も多くて、その入金確認の負荷が高いことが分かりました。奉行では、銀行の振込入金データの連携はできるが、口座振替データの取込には対応していませんでした。

 そこで急遽、口座振替に対応できるシステムを探した結果、V-ONEクラウドが対応できることがわかり、奉行からの切り替えを決断しました。メンバーからは「今から変更して大丈夫なのか?」と不安の声があがりました。奉行なら大丈夫だろう、と甘く見て、しっかり製品選定の検討しなかったことが原因でした。ただし幸いなことに、製品を購入する前だったので切替ができ、V-ONEクラウドにより入金確認業務は、なんとか効率化することができました。

 

★DX成功のポイント1.会社にあったシステムを選ぶ

 早めに要件を整理し、改善効果の高い問題点を洗い出すこと、その問題点を解消できるシステムを選定することが大事です。財務会計や支払管理に比べて、特に債権管理、入金管理は、業種により適するシステムが異なるので慎重に選びましょう。
 また普段から、会社にあうシステム、最近のトレンドなどの情報収集を行っておきましょう。普段から付き合いのある金融機関、税理士、IT商社などに聞いてみる、またはウェビナーなどを通じて、情報収集しておくことをお勧めします。

 

 

■問題発見!スケジュールが違っていた!

 当初のスケジュールでは、初回支払日は4月30日と想定していましたが、実際は4月10日に初回の支払があることが分かりました。

 それに合わせてスケジュールを前倒ししなければならないことが分かりました。

 プロジェクト当初のスケジュールは、ベンダーが作成したものを使いましたが、そこには自社のイベントまで反映されていませんでした。しかし、奉行からV-ONEにシステム変更した問題が発覚した後、毎週1時間の定例会を実施するようにしていました。

 また、スケジュールも自分たちのイベントを反映して作り直していました。定例会では、必ずスケジュールの進捗と課題の確認をするようにしたことで、実際の初回支払日は4月10日が初回であることが判明し、早めにスケジュールの見直しをすることができました。

 

★DX成功のポイント2:スケジュールと課題管理は自分たちで行う

 たいていシステム導入期間は短く、余裕ある期間は与えられません。短期稼働のためには、関係者で定期的にコミュニケーションをすることが大事です。前回のMTGから1週間も経てば、新しい問題や検討漏れがどんどん判明します。毎週、あるいは2週間に1度くらいは定例会を実施しましょう。定例会では「進捗」と「課題」の状況を中心に話すだけでいいと思います。ただし、ベンダーに任せず自分たちで行うことを心がけましょう。
 ベンダーが作成するスケジュールは、ベンダー側の作業スケジュールが中心なので、導入側のイベントを考慮していないことが多いです。またベンダーが作成する課題管理表も、ベンダー側の目線で漏れがあります。自分たちで業務の課題を洗い出しましょう。ベンダーに任せっきりというのは、あとでこんなはずではなかった、となるので注意しましょう

 

■問題発見!紙が多くて本来の仕事ができない!

 事例企業は、なんとか予定通りに稼働を迎えることができました。

 そして最近、新たに地方の施設を吸収合併することになりました。問題は、吸収した施設では、管理者の方が本来の仕事が出来ていないということでした。
 訪問介護員は、訪問介護先で朝食をつくってあげるというサービスを提供しています。そのため、スーパーなどで食材を購入、支払は訪問介護員が立替えて、会社に戻ってから、領収書と引き換えに精算していました。その領収書を見ながら管理者の方が仕訳入力をしていました。

 本来は、事務担当もいるので、その方に仕訳入力は任せたいのですが、会計知識がなく任せられないと、そのような役割分担が続いていたようです。ベテラン職員が多く、今までのやり方を変えられない、そもそも業務を変える必要性も感じていなかったようです。

 しかし、小さな施設なので、管理者は経理だけでなく、人事や総務など、職員が働きやすい環境を整えるなどの改善も期待されている状況でした。そのような業務には、十分な時間を割くことができずにいました。

<現状の業務フロー>
 総務担当者は領収書を受領し、丁寧に領収書台紙を貼り付けて、手書きの出金伝票を起票しています。

 会計知識がないとはいえ、おおよそ勘定科目ごとに区分して集計しています。訪問介護員は10名以上いるので、毎日この仕事だけで時間をかなり使っています。そして、管理者は金額と勘定科目を確認しながら仕訳を入力していました。

<今後の業務フロー>
 訪問介護員は、領収書を入手したら、スマホの写メで領収書をアップします。

 スキャナ保存制度に対応することで、そのまま原本を廃棄可能になります。その後、システムが領収書画像をもとにAI-OCRの機能により自動仕訳してくれます。そのため、総務担当者は仕訳をチェックするだけになります。また総務管理者は、仕訳を承認することでダブルチェックができるようになります。管理者の入力業務は担当者にシフトすることができ、管理者も本来業務に時間を割くことができるようになります。

 

★DX成功のポイント3:法改正を活用して、業務のやり方を変える

 なぜやり方を変える必要があるのか、管理者から担当者や現場の方々に対して、目的をきちんと伝えてあげることが大事です。

 やり方を変えることで、今よりも効率的に同じ成果が得られることが分かれば、みなさんも協力してくれます。効率化することによって、今後はどういう仕事をしてほしいと思っているのか、をきちんと説明してあげるようにしましょう。

 

 

■事例企業の成果

 目標は「生産性の高いバックオフィスをつくる」ことにありました。

 成果として、バックオフィスの人員を当初想定から1名減らすことができました。また、その方はバックオフィスから介護の現場部門への配置転換、つまり元の職場に戻ることができました。

 

【おさらい】
今回の事例で伝えたいDX成功のポイントは3つです。

1.会社にあったシステムを選ぶ
2.定期的に関係者とコミュニケーションをとる
3.法改正を活用して、業務のやり方を変える

この3つのポイントにより生産性の高いバックオフィスをつくることが可能です。
ぜひ参考にしてください。

 

 

動画も公開しております。(約16分)

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