令和5年4月から中小企業においても月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が引き上げられます
本記事では、従前の制度との変更点と必要な準備を解説します。本改正への対応を契機にDX化を進めるヒントもお伝えいたします。
※本記事は厚生労働省の資料(https://www.mhlw.go.jp/content/000930914.pdf)を参考に作成しております。
■大企業では既に始まっていました。
「働き方改革関連法」という法律をご存知でしょうか。正式名称を「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」といい、2018年7月6日に公布されました。色々改正点があり、2019年4月から順次、企業は対応に追われることとなりました。
引用:高知労働局「働くひとに、」9頁 より
今回解説させていただく 「月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が引き上げられる」改正点は、実は大企業では2010年の労働基準法の改正により始まっていました。13年の猶予期間を経て、ついに中小企業でも、2023年4月より対象となったのです。
■割増賃金率の変更点
改正前・・
中小企業で60時間以下→25%
中小企業で60時間超→25%(大企業は2010年からここが50%)
改正後・・
中小企業で60時間以下→25%
中小企業で60時間超→50%
■代替休暇の付与も可能
月60時間を超える法定時間外労働を行った労働者の健康を確保するため引き上げ分の割増賃金の支払の代わりに有給の休暇(代替休暇)を付与することができます。
ただし、こちらの制度を利用する場合は労使協定の締結、就業規則の見直しなど、文書周りの対応が必要になるので、注意が必要です。
■変更に伴い、求められること
①代替休暇の付与を利用するか否か、検討しておく。利用する場合、文書周りの対応を確実に行う。
②労働時間を正しく把握する。全ての勤怠管理の軸となる数値になります。また「法定休日労働」は今回の60時間の算定には「含まれない」ため、分けて集計しなくてはならないので、注意が必要です。
③給与計算。お使いのシステムは今回の改正に対応していますか?手計算等で管理されている場合、数式に不安はありませんか?
④代替休暇の管理。こちらも振替える時間に応じた計算と、残日数の管理が必要になります。
■DX化して、そもそも、60時間を超えないようにする取り組みを
「働き方改革関連法」の交付や、SNSの流行に伴うように、労働者が他者や他社の状況を知り、自身と比較する場面が増えてきています。新規の人材確保に苦労されている企業様も多いかと思いますが、まずは既存の、自社の労働者をしっかりつなぎ留めておくことの重要性は今後増していくことと思われます。
アクタスでは給与計算の代行業務や、システムの導入、業務フローの改善といった手段を通じて、お客様のDX化、「労働時間を減らす」お手伝いをしております。
例えば、今回の改正へのシステムでの対応といたしましては「就業奉行」「給与奉行」の導入が挙げられます。DX化という観点から考えると、
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