新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、多くの企業がテレワークを行っています。
しかし、経理部の皆様におきましては、なかなかテレワークに切り替えられない現状があるようです。一般社団法人日本CFO協会が実施しました「新型コロナウイルスによる経理財務業務への影響に関する調査」によれば、「あなた自身はテレワークを実施していますか?」という設問に対し、約半数が「全く実施していない」と回答しています。
Q.あなた自身はテレワークを実施していますか?
出典引用:一般社団法人日本CFO協会【緊急アンケート】新型コロナウイルスによる経理財務業務への影響に関する調査より抜粋
https://jp.surveymonkey.com/results/SM-9VGWQDDM7/
CFO協会は大企業中心の会員構成でアンケートも従業員500人以上の企業のCFOや経理部課長等の役職者が約7割を占めています。特に、緊急事態宣言が発令された4-5月は3月決算法人の年次決算と重なったこともあり、大企業であってもテレワークで業務を行うことが難しい状況であったことが分かります。さらに、決算や監査対応以外で、どのような業務に対して影響が出ているかという設問には「経費精算」という回答が34%を占めました。
Q.新型コロナウイルスがどの決算業務に影響していますか?
従業員数50名を超えてくると経費精算は、次第に負荷のかかる業務になり、システム化を検討する企業が多くなってきます。しかしシステムを導入しても、領収書原本は経理部に提出する必要があります。経理部の担当者は、届いた領収書とシステムに入力されたデータ(システムを利用していない場合はExcelで作成した申請書など)を突き合わせる必要があり、これは出社して行うしかありません。
当アクタス・グループも「ペーパーレス経費精算による業務効率化」を目指して2017年1月に「Dr.経費精算」というクラウドサービスを導入しました。またこのサービスを選んだもう一つの理由は「従業員はスマートフォンで手軽に経費精算ができる」という点でした。当社の従業員は外出や直行・直帰が多いので、締め日前は必ず自社に戻って経費精算を行う必要がありました。しかしこのサービスはスマホアプリにより、手軽に近隣交通費や領収書による精算が可能です。
当社のペーパーレス経費精算のフローイメージ
スマホアプリで撮影した画像
従業員からの申請は部門長のPCやスマホに通知されますので、そのまま内容を確認して承認することができます。そして部門長が承認したデータは、最後に経理部に届きます。経理部の担当者は領収書が手元になくても、PCの画面上で画像と入力データを突き合わせることができます。
経理担当者の確認画面
今回のシステム導入により、最も改善効果が高かったポイントがこの点です。
経理担当の声①
“紙の領収書とデータを突き合わせる必要がなく、システム上でチェックを完結できるので、とても楽になりました。”
PCがあればチェックが可能なので、本社経理部内で行う必要がなくなり、現在はこの作業を長野事務所に移管しています(本社は東京赤坂)。限りある人員をうまく活用できました。
経理担当の声②
“経費精算のフローをシステム化し、さらにルールを徹底しましたので、経費精算の差戻しが減りましたし、チェックも楽になりました。”
これはシステムそのものの機能ですが、申請時に「費用負担部門が正しいか?」「経費科目が正しいか?」「税区分が正しいか?」などのチェックが働くため、精度の高いデータが経理に届くようになりました。
一方、従業員にとってもメリットがありました。
従業員の声①
“スマホアプリで申請・承認などすべて完結できるため、どこでもスキャンでき、月末締めの経費精算も億劫でなくなり、期限までの申請が容易にできるようになりました。”
「期限までの申請が容易にできるようになった」という点は、従業員よりも経理部側に大きなメリットがありますね。
従業員の声②
“今までのように領収書が重ならないように丁寧に台紙に糊づけする手間がなくなったので助かります。”
領収書原本は翌日以降で会社に来た時に提出すれば大丈夫です。しかも経理部では画像と入力データとの突合せをしているので、台紙にホチキスでとめて提出するだけの簡便的な方法で良くなりました。
その他にも多くの声がありました。
・画面が直感的で分かりやすいため、ITが苦手な自分も使いやすい。
・領収書入力代行があるので、スキャンすればいいだけでとても便利で楽。
・スマホアプリで交通系ICカードの読み込みが可能になったので、近隣交通費の入力が楽になった。
・毎日の為替レートを自動取得してくれるので海外出張精算が楽になった。
・夜食補助の精算における軽減税率選択が分かりやすい。
・一度入力した経路を自動学習するので、繰り返しの入力が楽になった。
最終的に当社では、2019年10月末に電子帳簿保存法における領収書のスキャナ保存の承認申請書を所轄税務署に提出しました。無事受理された2020年2月よりスキャナ保存制度による運用がスタートしています。これにより、定期検査後には領収書の廃棄も可能となりました。
経費精算のペーパーレス化を進めたおかげで業務が効率化され、今回のコロナ禍では経費精算は大きな負担にならず、結果として経理部のテレワーク化の一助となりました。
経理部のテレワーク化や経費精算のペーパーレス化ご興味がありましたら、是非お声掛けください。